『東のエデン 劇場版 I King of eden』
1.
森美咲と滝沢朗の約束なしの再会
映画版で咲と滝沢はN.Y.C.のブルックリン橋のたもとで再会する。
しかし、これはとても奇跡的すぎる偶然が重なっている。
咲が滝沢が指定した場所をさぐり当てるのが早すぎる。
イエローキャブで荷物を盗まれてしまうような咲が、N.Y.C.地図のなかから、
短時間で指定の場所に行き着くのは困難と思われる。
なぜ、そこだとわかっていたのか?
わかっているなら、なぜはじめからそこに向かわなかったか?
さらに、最大の問題点は、日にちと時間の偶然の一致である。
アポなしで訪れている咲が、滝沢があの場所へ訪れている時間と偶然一致するのは、
奇跡としかいいようがない。
まず、滝沢はアルバイトで映画館に勤めているらしいから、休日以外の日中は行けないはずだ。
また、咲が偶然訪れた時間が、二人の約束の中に含まれていれば問題ないが、
滝沢が残したメッセージの中には時間指定が含まれていなかった。
2.「東のエデン」のエデン・システムの構築が早すぎる件
インフラがズタズタになった豊洲のショッピングセンターで、
なぜ高速通信と膨大なデータ処理を必要とするエデン・システムを構築できたのか。
サーバーだけあっても、高速通信ケーブル用のインフラがなければ運用できないはず。
設定上のエデン・システムのことを考えると、とうてい6ヶ月で実用段階にできるとは考えられない。
インフラの問題は脇に置くとしても、
あれだけの膨大なデータの運用システムを構築するには、どれだけのプログラマーが必要だろう。
「東のエデン」にしろ、「世間コンピューター」にしろ、数ヶ月で築いたものではないはずだ。
大学の学内LANならまだしも、一般回線における検索システムとなると、
運用プログラムの構築はすさまじい行数のエンジニアリング作業になるので、
6ヶ月で出来るとはとうてい考えられない。
3.
物部のトレーラー攻撃成功の矛盾
静的物体、たとえば建築物や構造物の破壊をトマホークのような巡航ミサイルで行なうことはあるが、動的物体、たとえば自動車や飛行機のような移動体への攻撃は、
通常誘導弾(追跡ミサイル)によって行なう。
というのも、移動物体はつねにその位置を変えるばかりでなく、その速度も一定しないので、
対象をロックオン(措定)しないと、命中させることが困難である。
物部はその移動体であるトレーラー(ジュイスAI搭載と思われる)を、巡航ミサイルで、しかも位置指定(緯度・経度)でピンポイント攻撃した。これはどう考えても当たるとは思われない。
くわえて、なぜ物部はトレーラーの移動経路とそして攻撃位置を知り得たのか?
移動経路を知っているなら、ミサイル攻撃ではなく地雷や時限爆弾のような装置の方が安全確実。
ミサイルの場合は不確定要素が多すぎる(車列の変更や、速度の変更など)。
しかも、JUIZトレーラーの搭載AIの番号が判別できたとは、普通は考えにくいからだ。
(衛星からあの大きさのマークが判別できるとは思えない。しかもセレソンナンバーはカラーリングが同じだから、番号を色で識別できない)
JUIZトレーラーの番号が判別困難であるとすれば、誤爆は自分のJUIZを破壊するリスクを負う。
待ち伏せ攻撃なら、これを回避できる。
結論: 物部はミサイルではなく地雷もしくは時限爆弾でトレーラーを破壊すべきであった。
4.
黒羽のミサイル攻撃回避のまちがい
トレーラーへの巡航ミサイル攻撃を回避するなら、トレーラーの順列を代えるよりも、
隊列全体を停止させてしまうか、速度をあげて全速力でポイントを通り抜けてしまえばよかった。
法定速度をやぶって加速すれば、位置指定の巡航ミサイルの攻撃など当たるはずがない。
それよりも、路側帯に停止させてしまうのがいちばん。
順番を変える申請が通るなら、隊列全体を停車させることもできたはずである。
巡航ミサイルのような破壊力の大きいミサイルが当たったら、
たとえ直接のダメージは受けなかったにしても、爆発やその破片によって相当の被害を受ける。
よって、無傷でいられるとは思われない。
まして高速道路上だと、高架ごと破壊され落下する可能性も十分ある。
よって、順列の変更はトレーラーを保護する決定的な方策にはならない。
5.
No.6の無理な申請が達成されたこと(ホテルの暖房装置が異常動作して爆発する)
咲と滝沢にシャワーを浴びさせて、その最中に部屋が爆発して死亡する。
この物語を達成させる申請を、直元大志はJUIZに出したが、これは達成不可能であると思われる。
ひとつは日本国外はシステムの有効圏外であること。
もうひとつは、セントラルヒーティングとおぼしきN.Y.のホテルの暖房を、
部屋指定で爆破できると思えないこと。